コワーキングスペース、シェアオフィスとして異次元の成長スピードを見せているWeWork(ウィワーク)は2018年12月現在で世界26カ国99都市400オフィスを構え、会員は約40万人という規模に達しています。
働き方改革のビッグウェーブに乗って突如として日本にも進出してきた印象のWeWork。一体どのような沿革を経て現在まで突っ走ってきたのでしょうか。WeWorkの歴史をコンパクトにまとめてみました。
もくじ
WeWork二人の創業者
CEO Adam Neumann(アダム・ノイマン)
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1979年生まれでイスラエル出身。イスラエルの海軍に勤めた後に渡米してニューヨークに住むことに。ニューヨークで女性靴や幼児服などのアパレル事業を立ち上げましたが、パッとしなかったようです。そして5社目の起業がWeWorkとなりました。
CCO Miguel McKalvey(ミゲル・マッケルビー)
1973年生まれでアメリカのオレゴン州出身。『English, baby!』というオンライン教育サービスを創業した後にアダム氏と共にWeWorkを創業しました。
2008年にWeWork前身の『Green Desk』を創業
創業者のアダム氏とミゲル氏はニューヨークで知り合い、意気投合して起業を計画します。当時のニューヨークは家賃が高く、スモールビジネスの経営者にとってオフィス維持のコストが死活問題だったようです。朝日新聞の記事では創業当時の様子が以下のように紹介されています。
「小さな会社が集まって共有できるオフィスを作ったらどうだろう」。ある日、2人でふと交わした会話を、ニューマンさんは放っておかなかった。すぐにビルの所有者を訪ねたが、門前払い。「お前たち、何者だ」。何度断られてもあきらめず、とうとう空いていた1フロアを借りて、所有者と利益を折半する契約を取り付けた。
08年、NYでWeWorkの前身となるシェアオフィスを開設。床にテープを貼り、貸し出す机の場所を示しただけだったが、あっという間に埋まった。
こうして創業されたのがWeWorkの前身『Green Desk』でした。資金はアダム氏とミゲル氏、そしてビルのオーナーのジョシュア・グットマン氏が5000ドルずつ出しました。
そして、シェアオフィスの広告を出したらたちまち満室に。シェアオフィス事業はすぐさま軌道に乗りました。
2010年にGreen Deskを売却しWeWorkが誕生
Green Deskは順調でしたが、入居者同士のネットワークを活性化させたいアダム氏とミゲル氏に対して、ジョシュア氏はGreen Deskの既存の方針を続行したいと主張し、意見が割れました。
そこで、アダム氏とミゲル氏は所有する全ての株式をジョシュア氏に売却し、そこで得た資金30万ドルでWeWorkを創業します。
ネットワークをベースに事業展開し急成長
WeWorkを創業してからの急成長は皆さんも知るところだと思いますが、やはり事業のキモは入居者同士のネットワークのようです。クーリエジャポンの取材でミゲル氏はこのように語っています。
WeWorkは不動産会社ではなくITサービス企業です。スペースの提供は、そのサービスの一部に過ぎません。
WeWorkに入居した企業に対して、必要なサービスを提供するのが、私たちのビジネスです。
(中略)
同じ空間にいる似たような境遇の人と交流できる。そして事業を通じて目標を達成することを尊重する人同士でコミュニケーションをとれるという点が、WeWorkの魅力です。
起業当初から、WeWorkはメンバー同士のネットワーク構築に力を注ぎました。おかげさまで、こういったサービスを必要とする人々と世界中で出会えることができました。
引用:すべては起業家のために! 「WeWork」創業者インタビュー「僕らは、ただのシェアオフィスではない。新しい働き方を支援するネットワーク企業だ」
WeWorkはまさにITサービスで、入居者同士はアプリでコミュニケーションが取れますし、なんなら人材募集もできます。
入居者が自発的に交流しやすい環境をソフト面とハード面からサポートするのがWeWorkの本質的な価値となっていきました。
ソフトバンクグループによる出資
ソフトバンクグループが運用する超巨大ファンド『ソフトバンク・ビジョン・ファンド』が初めてWeWorkに出資したのは2017年でした。
そこから出資を重ねていき、2019年1月の時点でソフトバンクのWeWorkに対する出資総額は約104億ドルにまで達しています。
その結果、ソフトバンクはダントツでトップの大株主となっています。WeWorkの急成長を支えているのはソフトバンクの資金力でもあるのです。
2019年 The We Companyに商標変更
WeWorkは2019年1月に『The We Company』に商標変更しています。
実はWeWorkはシェアオフィス事業以外にも、シェアハウス事業のWeLive、教育事業のWeGrowを展開しているんです。
さらにサウナ、ヨガ、ジム、プログラミング・ブートキャンプなどの領域にも着手しています。
これからも続々と生まれるであろう“We”ブランドのサービスは一体どこまで成長を続けるのでしょうか。