仕事(Work)と休暇(Vacation)を両立させる『ワーケーション/Workation』というワードが日本でも広がっています。
PCやスマホなどのリモートツールが便利に進化しまくっているので、仕事と旅行の両立することは難しくなくなりました。
しかし企業が取り入れるとなると、なかなか難しいのが実状です。社内での理解や共有が不十分なままワーケーションを実践してしまうと…想像しただけでも危険なニオイがします。
そう、どんな組織でもワーケーションするべきか?と問われると答えはNOなのです。
では、上手にワーケーションを取り入れている企業や個人、ワーケーション施設などの成功事例を見てみましょう。
ワーケーションと言っても様々な実践方法があるので、タイプ別に紹介します。
期間限定ワーケーション
ワーケーションする人・期間・目的を決めて、会社から同意を得たうえでワーケーションする方法です。一番オーソドックスなやりかたでしょう。
福岡で僕が利用していたコワーキングスペース『SALT』では「お試し福岡リモートワーク生活」という取り組みをしていました。
東京の企業からリモートワークできるクリエイティブ人材に3週間福岡に住んでもらって、移住を体験してもらうという趣旨です。
実験的な取り組みでしたが、福岡としては「移住・転職のきっかけ作り」ですし、参加企業(参加者)としては「ワーケーション全然アリじゃん」と思えるきっかけになります。
こちらの後日談にリアルなフィードバックがたくさんあるので、ぜひ読んでみてください。福岡という場所の魅力もたっぷり語られています。
関連記事:「お試し福岡リモートワーク生活」を終えた6人に聞く!本当のところ、どうでした?
合宿型ワーケーション
日本航空(JAL)は2017年からワーケーションをトライアルで導入しています。
5日間国内外でのワーケーションができる制度で、この5日間は出勤日としてカウントされるそうです。素晴らしい。
そんなJALがこの制度をうまく使ったのが「合宿型ワーケーション」です。
これまた福岡のコワーキングスペース『SALT』で実施されたのですが、JALの人事関連の若手社員から参加者を募って「自律型人財になるために何が必要か、何がしたいか」というテーマで合宿したそうです。
場所を変えて合宿に挑んだメリットとして、JALの担当者の東原さんは「無になれたこと」があると語っています。
そうですね。具体的には、少なからず「無」になれたことが良かったと思います。今回は、入社3~5年目の社員が半数を締めているのですが、そのメンバーは、あえて離れた距離にある場所へ足を運ぶと、日々の業務を諦められると言っていました(笑)。
確かに、特定のテーマについて徹底的に話し合いたいときに、日常業務が挟まると生産性が落ちそうです。
スーパーサラリーマン型ワーケーション
再現可能性が低い事例ですが、圧倒的な成果を出すスーパーサラリーマンが実践するワーケーションを紹介します。
僕は先日、ガイアックスでソーシャルマーケティング事業部の本部長を務める菅大輔さん(@suga_neo)の話を聞く機会があったのですが、とんでもないワーケーションを実践していました。
この菅さん、リモートワークしながら「**年で売上**倍!」などのエグい事業目標を有言実行してきたスーパーサラリーマンなのです。
そしてなんと菅さん、上場企業の要職でありながら、2ヶ月間オランダに滞在して仕事をしていたのです。
オランダ着いたー。18時間移動はなかなかハードだった。次は直行便にする。
ただ、ここに来れたことが嬉しすぎて、街の雰囲気が好きすぎて、一気に回復した。これから仮眠取ってすぐ会議。めちゃくちゃ仕事して、めちゃくちゃ遊ぶぞ。 pic.twitter.com/64bPVAem8W— Daisuke Suga / Gaiax (@suga_neo) April 14, 2019
オランダで一番仕事やすい場所見つけた。アムステルダム中央図書館。ヨーロッパ最大で、デスクが1000席あって、テラスがあって、レストランもある。超おしゃれ。Wi-Fiの速度も桁違い。オンライン会議もできる。そして無料。weworkの契約も考えたけどやめた。比じゃない。
これから図書館に出社します。 pic.twitter.com/SDWM98inJG— Daisuke Suga / Gaiax (@suga_neo) May 21, 2019
僕が話を聞いたのは菅さんがオランダに飛び立つ前日だったのですが、オランダに行く理由は「ディープワーク比率を高めるため」とのこと。どゆこと?
『ディープワーク』というベストセラーのビジネス書があるのですが、仕事の生産性を高めるためには脳みそ使いまくる“ディープワーク”と、脳みそ使わずにできる“シャローワーク”を使い分けることが大事だと説いています。
菅さんはそれまで、日々の業務が会議や会食、事務処理などのシャローワークが占める割合が大きいことが課題だったと言います。ディープワークに割く時間が足りない、と。
その原因は「物理的に同僚や得意先と距離が近いため」そして「働いてるタイムゾーンが同じため」であることに気がついたそうです。
そこで「この状況を打開できるのは時差しかない!」と思い立ち、オランダへ飛んだ、とのこと。
結果、日本の人が稼働していない時間をディープワークに充てる事ができて大成功だったようです。
福利厚生型ワーケーション
企業が福利厚生として、ワーケーションできるコワーキングスペースと契約するケースもこれから増えそうです。
本社は渋谷だけど、たまに湘南のコワーキングに出社、というように「都心」と「都心に近い海」などの構成が相性良さそうです。
僕が以前にお邪魔した湘南のコワーキング『WorkationPlus』などは、そんな利用にぴったりです。
Workation+Plusのスタッフさんも、銀座のWeWorkと湘南のWorkationPlusを使い分けて仕事をしているそうです。
場所を変えることで新しい発想が生まれたりしますから、クリエイティブ系の会社などは導入してみてはどうでしょう。
ちなみにこのWorkationPlusは前述の合宿施設としても使えます。
関連記事:本気の遊び心を満たす湘南のコワーキング『Workation+Plus』が大人の秘密基地だった
WorkationPlusのインスタグラム
WorkationPlisのホームページ
まずはお試しワーケーションを
ワーケーションが最高ってことを分かってもらえたと思います。
しかし、いかにして導入するかしっかり検討すべきです。ワーケーションしてる間は出勤扱いなのか、有給扱いなのか、などなど悩ましいポイントはいくつもあります。
どうしても会社員は、制度が許す限りサボろうとする人が出てきます。そういう社員がいると、ワーケーションを乱用してむしろ生産性が落ちるケースも考えられます。
JALのようにトライアルで導入して、その結果どんなメリット・デメリットがあったかを慎重に精査してから導入することをオススメします。